「吉川さんみたいないい女が安売りしちゃダメだよー。それだけじゃ、俺すまなくなるから…」


照れ隠しに僕はタバコに火をつけた


吉川さんもタバコをくわえて髪をはらった

「あのあと由希ちゃんと話したんだ。あの子ホントにナベちゃん好きなんだね…
二年付き合った彼に別れ話したらしいよ。

でね彼氏が嫌がって、今日教習所に来たヤツに相談したらしいわ…」


「……」

なんとなくだった理由が今すべてわかった

あの晩 由希がジャケットを借りたこと。そして真面目な顔を時々見せたこと…


「どう?いい話でしょ?」


吉川さんは笑った…

揺れる髪、チラッと目を伏せる仕草…ホントにいい女だと思う。

「吉川さん、離婚して大変みたいだけど、来年の今頃はきっと幸せになってるよ」


そんなこと言ってる自分がガキに思える