体育の授業はナナの予言通り100m走だった。

ストップウォッチを持った先生が一人一人タイムを計っている。

「よーし次は木々野だな!」

先生がミーナの名前を呼び笛を鳴らす。

瞬間、駆け出す体。

走ることはミーナの唯一と言っていい程の取り柄だ。

夏のからりとした空気を切って走るのは気持ちがいい。

タイムを計り終え、皆がいる列に戻ろうとしたときふと視線を感じた。

(……?)

辺りを見渡すと木陰に座っているライルと目が合う。

彼は体が弱いため、体育はの授業はすべて見学しているのだ。

ライルはダークブルーの瞳でこちらをじっと見ている。

(なんだろう……?)