【完】ヴァンパイアとチョコレート

「離して!!」

自分でもびっくりするくらいの大声で言うと、ミーナはアンバードの頬を叩いた。

赤い瞳が一瞬見開かれ、打たれた頬がみるみる赤くなる。

優しげな瞳が徐々にきつく眇(すが)められる。

昨日、あんなに綺麗だと思った瞳が禍々しい色に染まった。

弱い者をおもちゃの様にいたぶり、殺す。

幾人もの人間の血を吸ってきたヴァンパイアーー。

それがアンバードの正体だった。

「……優しくしてるとつけあがって」

アンバードは腹の底から声を出して赤い瞳をギラつかせた。

(……!?)

ミーナは怒りに震えているアンバードから目が離せない。

「一滴残らず血をすすってやる……!」

くわっと口を開き鋭い牙をミーナに見せる。

ミーナがぎゅっと目をつむった時だった。