自分の持つ本の存在も忘れ、そうやって見つめていると、ふいに顔を上げ、あたしと視線を交わしたその青年。 あっ。 反射的に、あたしは顔を背ける。 思いっきりそらしてしまったー…。 若干の気まずさが残り、少し経ってから、そーっと青年のほうに目を向けると、再びぱちっと目が合った。 み……見ている…。 めっちゃこっち見てる……! 笑いも怒りもせず、綺麗な無表情のままで、あたしをじーっと見つめる青年。 うぅっ………。