その日の放課後。
あたしは、上原くんと2人で廊下を歩いていた。
発端は、担任の先生に、
「上原くんに校舎を案内してあげて」
とお願いされ、断れるはずもなく引き受けてしまったからだ。
「…それで、そこが視聴覚室ね。よく移動教室で使うから、覚えといたほうがいいかも。」
あたしが、前方にある部屋を指差しながら上原くんを見た。
けれど、上原くんはあたしの言うことにとくに反応することもなく、ただあたしを見つめるばかり。
「あの…、上原くん…?」
人のことを言えないけど、何というか、彼はよく相手の顔を見つめる癖があると思う…。
「えーっと…次は、どこに向かおっか?」
あたしが問いかけると、上原くんは首を横に振った。


