「ちょっと、まって!」 「なに?」 バルコニーへ行こうとする白雪姫。 わたしの言葉に足を止めて振り返った。 「わたしと王子様はどうすればいいの?」 「今の関係を保ってくれればいいわ。 あたしたちは恋をしてる。結婚もきちんと考えてるから」 「…そっ、か」 「だから、あなたはあなたらしく。 後少しの間だけ白雪姫をやってちょうだい?」 「はい…」 「あなたならできるわよ!」 ぽんっとわたしの肩に手を置く。 わたしはそのまま動くことなんてできなかった。