夜になって、そっと部屋から出る。 なんとなく、外に散歩したくなった。 風牙くんの優しさに触れて。 心の中で整理をつけた。 この気持ちがよくわからないけれど、 今は役目を果たそうと。 ゆっくり歩いていると、前から誰かが歩いてくる。 初めて見る人だ。 「こんばんは」 「こんな時間にどうしたんだい、お嬢さん」 …もしかして。 この人…。 急いでわたしは元来た道を戻ろうとした。 「遅いよ」 わたしはそこで意識が途絶えた。