「ほら」 先に降りてわたしへ腕を広げる。 わたしはその腕に飛び降りた。 優しく抱きとめてくれる。 抱きしめられたまま、しばらくいると、 そっと蓮斗が離れて歩き出した。 「…どうしたの?」 「わかんない」 「えっ?」 わかんない? 「すんげえ、あいつにムカついた」 「蓮斗…」 「ごめん、大人気なかったよな」 苦しそうに笑う蓮斗。 わたしは見ていられず、 無意識のうちに抱きしめていた。