泣き止むまでずっと抱きしめてくれていた。
何もしらない赤の他人。
ただ、飛ばされてしまった異国の中で
王子様と白雪姫として出会っただけのことなのに。
こんなにも、
こんなにも、
安心できているのはきっと、この人の力。
「少し、落ち着いたか?」
「うん」
せっかく、メイクとかしてくれたのに。
きっと、ボロボロだろうな。
「あんたの名前、なんていうの?」
「高山 りんご」
「りんごか。白雪姫にぴったりだな」
ケラケラと笑う。
たしかに、白雪姫はりんごを食べて倒れちゃう。
「え、あのシーンもあるの?」
「さぁな」


