「おやすみ、りんご」


「…」


怖くておやすみなさいが言えなかった。


この手にあるあったかさが、
明日にはもう感じられないかもしれない。


蓮斗を見ると、気持ちよさそうに寝ている。


きっと、こんなに不安がってるのはわたしだけ。


ため息をついて立ち上がると、
思いっきり手を引っ張られて後ろに倒れた。


「どこいくの」


「え、寝に…」


「ここで寝なよ」


そう言って、ぎゅっと抱きしめた。


最後くらい、いいよね?


わたしはそのまま、蓮斗のとなりで寝た。