「くそ橘!!」 うるさい声が聞こえて俺は後ろを向いた。 夏休みだというのに、この声を聞かない日はない。 しかも、何やら苛立つ呼び方をされた。 きっと、彼は機嫌が悪い違いない。 俺はラケットを手に持ったまま、 「なに?うるさいんだけど」 彼にわざと迷惑な顔を向ける。 オレンジ色の髪を輝かせた彼は、いつものしかめっ面で俺を見ていた。