「橘」




不意に俺を呼ぶ声が聞こえ、俺は振り返った。

そして、一瞬ぎくっとした。




俺の目の前には白浜先輩がいて、目つきだけで人を殺してしまいそうな顔をしていて。

その敵意に満ちた顔を見て、思わず後ずさりしてしまう。





だが……



無言で差し出された白浜先輩の手。

そこには俺のタオルが握られていた。