－－午後８時－－



続々と皆が帰り始め、気づけば私と佐藤さんだけが、狭い部屋に取り残された。


「あの～、佐藤さん何時まで居るんですか？」


私の問いかけに、ゆっくり腕時計を見て時間を確認すると、佐藤さんは言う



「ん～。私はもうちょい頑張るよ。スミレは先に帰って良いよ。」


言葉だけを私に向け、佐藤さんはカタカタ音を鳴らし始める。



「じゃあ、すいません。お先です。」



ぺこりと佐藤さんに頭を下げると、


「豪雨だから、気をつけて帰りなよ～。」


私に、そっとバイバイと手を振る。


私も、胸の前で小さくバイバイをしてみたが、佐藤さんはこっちを見ていなかったので、何か虚しいバイバイになってしまった、、、


ま、気にせず私は会社を後にした。