沢木 龍之介(サワキ リュウノスケ)。
20歳。大学生。
派手な格好に、恵まれたルックス。
見るからに“遊んでます”って感じの軽そうな雰囲気。
“今”を謳歌する、典型的な“現代っ子”。
それが、
私の“旦那さま”。
“デキちゃった”…なんてことでもない限り、結婚なんてあり得ない。
いかにも、そういうタイプなのに…
彼はあっさりと、私との結婚を決めた。
つき合っていたわけでもないし、
ビビビッと、運命的な出会いを果たしたわけでもない。
親が決めた“許婚”ってわけでもないし、
もちろん、犯罪がらみの“偽装結婚”ってわけでもない。
考えられるとすれば、
やっぱり“同情”…?
見た目はあんなだけど、あれで結構マジメって言うか…
何より、やさしい人だから。
転落して行く“幼なじみ”を、放っておけなかったんだと思う。
……そう。
私たちは、所謂“幼なじみ”ってやつだ。
と言っても、
仲が良かったのは小学生くらいまでで、
もうずっと、疎遠になっていたんだけど…
――あの日。
たまたま。
本当に偶然。
私たちは再会してしまった。
それが、始まり――