「部屋は、明のためにずっと空けたままにしておくから。いつでも、言ってくれ」 「……ありがと」 大丈夫。 あたしは、まだまだ頑張れる。 それに。 水上さんは、何か間違いを起こすような人じゃない。 酔っ払って手がつけられなくなることはあっても、心根の真っ直ぐな人なんだから。 あたしたちは、再び渋谷へ向って歩きだした。 少ししてから、凌が空車のランプを目ざとく見つけ、通りかかったタクシーを止める。