リンゴの味は__。

 合宿最後の夜の花火が終わり、ホテルへと歩いて戻る帰り道。



 担任に、最後まで後片付けのために残された浩に付き合って、私も一緒に帰る。



 周りには、誰もいない。
 聞こえるのは、夏の音。



 そして、感じるのは、いつもよりも速い心臓の音__。



 私より少し前を歩く浩が、こちらを振り返った。



「林檎、遅れるなよ?」



 その笑顔をいつも、私にくれていた。
 その声でいつも、私に“好き”と言ってくれていた。



 そんな浩が、もう私の方を振り返ってくれないんじゃないかって__。



 少し前を歩く浩が、いつかはもっと前を歩いて行ってしまうんじゃないかって__。