午前6時過ぎ。 羽田空港のロビーは、窓から朝陽が差し込み、清々しい空気で満ちていた。 麻紀は、背もたれのない大きな黒い合皮のソファに座り、売店で見付けた肉巻きおにぎりを食べていた。 「ずいぶん早く着いちゃったなあ…」 高い吹き抜けの天井の下にある、 柱に取り付けられた時計を見あげる。