数日後、街中を歩く彼女を見つけた。
探していたわけではない。
ただ視線の先に、いた。
特に目立っていたわけでもなく、人混みの中に紛れていたのに、吸い寄せられるように彼女を見つけた。
そして気付くと肩を掴んでいた。
「…え?」
「…あ…悪い、人違いだった…」
彼女の記憶は消してしまったから、俺のことやあの日のことを覚えているはずはない。
それなのに。
「あ、美波さんのところにいた…たかせさん、でしたよね?」
「っ、」
「あれ、違いました?ごめんなさいっ」
慌てて謝る彼女に、会ったことはないと言ってしまえばよかったのに、思わず答えてしまった。
「いや、合ってる…」
「よかった」
ふわりと笑ってみせる彼女に怯えた様子はない。
「…覚えてるのか?」
「え?」
「いや…なんでもない」
独り言のように呟いた声は小さく、雑踏の中では掻き消されて彼女には届かなかったようだった。
すぐに誤魔化すと、気にした風もなく見上げてくる。
「あの、」
「ん?」
「また、会えますか?」
予想もしていなかった言葉に思わず呆けてしまう。
そんな俺の反応に、少し顔を赤くしながら、慌てて言葉を並べる。
「あ、いや、あの…ご迷惑だったらいいんです…」
「…俺、美波さんとこにたまにいるから…」
だから、と一度言葉を切る。
こんなことを言ってどうする。
記憶は中途半端に消し損なったが、重要な部分は覚えていないのだから放っておいても問題はないだろう。
だからこれ以上関わって、記憶を掘り起こすようなきっかけを与えるのはよくない。
そんなことを考えながらも、唇は裏腹な言葉を紡ぐ。
「…また、会えるよ」
「はい…!」
嬉しそうに頷いた彼女の笑顔が離れなかった。
探していたわけではない。
ただ視線の先に、いた。
特に目立っていたわけでもなく、人混みの中に紛れていたのに、吸い寄せられるように彼女を見つけた。
そして気付くと肩を掴んでいた。
「…え?」
「…あ…悪い、人違いだった…」
彼女の記憶は消してしまったから、俺のことやあの日のことを覚えているはずはない。
それなのに。
「あ、美波さんのところにいた…たかせさん、でしたよね?」
「っ、」
「あれ、違いました?ごめんなさいっ」
慌てて謝る彼女に、会ったことはないと言ってしまえばよかったのに、思わず答えてしまった。
「いや、合ってる…」
「よかった」
ふわりと笑ってみせる彼女に怯えた様子はない。
「…覚えてるのか?」
「え?」
「いや…なんでもない」
独り言のように呟いた声は小さく、雑踏の中では掻き消されて彼女には届かなかったようだった。
すぐに誤魔化すと、気にした風もなく見上げてくる。
「あの、」
「ん?」
「また、会えますか?」
予想もしていなかった言葉に思わず呆けてしまう。
そんな俺の反応に、少し顔を赤くしながら、慌てて言葉を並べる。
「あ、いや、あの…ご迷惑だったらいいんです…」
「…俺、美波さんとこにたまにいるから…」
だから、と一度言葉を切る。
こんなことを言ってどうする。
記憶は中途半端に消し損なったが、重要な部分は覚えていないのだから放っておいても問題はないだろう。
だからこれ以上関わって、記憶を掘り起こすようなきっかけを与えるのはよくない。
そんなことを考えながらも、唇は裏腹な言葉を紡ぐ。
「…また、会えるよ」
「はい…!」
嬉しそうに頷いた彼女の笑顔が離れなかった。
