不思議な姫




あっ、そう言えば名前しらないや




まぁ 気にならないから

聞かなくていいや





「じゃあ、あたし行きますね」




そう言って来た道を戻ろうと

振り返った





……そう、振り返ったのに


彼に手首をしっかりと持たれ


歩けない




「えっと、手離して貰ってもいいですか」



「名前教えてくれ」



「名前ですか? 高嶺悠里です」



「悠里か」



いつまで手首持たれたままなんだろう?



「あの手離して下さい」