ズキズキする胸を抑えながら
冷静を装って話した。
「 …もう…五年か六年も前だよ。だから私もあんま…覚えてないなぁ〜 」
って嘘。嘘ついちゃってた。
年数はあってるけど、
全然覚えてるもん。
あの日の光景も寒さも体温も…
全部、全部、全部 。。。
まだ私の中で鮮明に残ってる
「 いずみさん記憶力悪いの? 」
篤人君がまたニッコリ微笑んで
私を真っ直ぐ見ながら言った。
「 あ、え〜そんな事ないよ? 」
ちょっと焦って答えた。
記憶力はもしかすると人一倍
いい方なのかもしれない(ー ー;)
「 あ…変な事…聞いていいっすか?」
「 ん?な、なに?? 」
いきなり篤人君が真剣な顔で
聞いてくるから身構えちゃって…
「 その雪を見てから今日までまだ見てないんすよね? 」
「 え、、あぁ〜うんまだかな 」
「 じゃあ…その最後に見た時は…」
「 ん? 」
真っ直ぐな瞳、奥二重でキリっとした
吸い込まれて離せなくなった。
高鳴る胸の音、どうか彼に
聞こえませんように……
「 …誰と…見てた?? 」
その言葉に私は、ただ真っ直ぐ
篤人君を見る事しかできなかった。
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