いつだってこうだ。 いつだってこいつは私の上を涼しげに飛び越える。 「ほら、早く行くよ。はる」 「言われなくても行きますっ!」 ほんとに可愛げのない女だとつくづく思う。 朝から会えたこと、 “はる”と呼んでくれたこと、 本当はすんごく嬉しいんだって伝えたいんだけど、 素直になるのって難しいんだもん。 「やっと付いてきた。」 そう言って薄く笑う伊崎。 伊崎もこんな意地っ張り呆れてるよね……。