教室に戻るといつもどおりの風景があった。
席につこうとすると
「やっといつもどおりの爽湖になったな。」
前の席の渚が振り返りながらそう言った。
きっと、渚にも迷惑や心配をかけてしまったんだな。
「安西さんも、すごい心配してたよ。あんまり、1人で抱え込んだらキツイんだから!」
渚が真剣にそう言う。
“安西さんも”の“も”に渚の優しさを感じる。
「…俺だっていんだかんねっ!」
ちょっと小さめの声だったけど、とても心強かった。
「うん!ありがとう。もう、大丈夫」
私は笑顔でそう返した。
「ん、ならいい。」
そうやって渚がクシャって笑ったと同時に授業の始まりを知らせる本鈴がなった。