サンドリヨンは微笑まない


カサ、とコンビニの袋が開け放たれた窓からの風に揺れる。


「…チョコレート、要りますか?」


恐る恐る差し出す。まずは食べ物でご機嫌取りっていうほど、遼は動物的ではない。

それでも、何も言わずにチョコレートを受け取った遼は溜め息を吐いた。

大学生の遼は、場所が違うからか、違うように見えた。


「あたしが話しかけたんじゃない。あの人に紙取られて、ついてくしかなくて…」

「だろうな」

「…だろうな?」

「母校の制服見て声かけたんだきっと。大堀が親切な奴で良かったな」

近くにあった椅子を引いてくれた遼。