サンドリヨンは微笑まない


結局何をしに来たんだろう?


「あの人何しに来たんだ?」

「あたしが聞きたい」

「あんたが連れて来たんだろーが。つかここの綴り違う」


え、と消しゴムを持つ。平井さんが鞄を持つのと同時。そして同じタイミングで携帯の着信音。


「あーはいはい、分かってる」

『…ますから! 十秒以内に下りてきてください!』

「おーこわいこわい」


平井さんが電話を切る前に声に出すから、『社長!』と怒鳴り声が下からも聞こえる気がした。


「お邪魔しましたー。ハルカくんホタルちゃんの先生これからもよろしくね」

「ああ、はい」


もしかしてあたしの勉強ぶりを監視に…?