サンドリヨンは微笑まない


「生活能力も頭もすっからかんなのに、仕事は出来るのな」

「天職だもん」

「ホタルちゃん、それ漢字で書ける?」

「書けますとも!」


英語のノートの端にガリガリと書いた。

合ってる、と遼が言う。


「かなり急に決まったけど、ハルカくんに先生頼んで良かった。まあよく知らない人に助け求められて足を止める人間に悪い奴なんて居ないと思ってるけど」

「かなり嫌でしたけどね」

「うん、すごい面倒って顔してた。それでも、キミは人が良いね」


にこりと何故かあたしに向かって微笑む平井さん。あたしに同意を求めてるのだろうか。

曖昧に笑っておくと「それじゃあ帰るかな」と立ち上がった。