「金持ちの浪人生?」
「そうなの。一人暮らしだし、いつもお寿司取ってるし」
「なんだそれ」
背中にまわされる腕に力が少し入る。呆れたような遼の笑い声が直接届いて心地良い。
表札。名前は無理でも、苗字なら…。
「まあ、それからお姉ちゃんにそのことを責められて、この街へ高校を決めてみなさんに別れを告げて出て行きました、と」
なんだっけ、苗字。
喉のここら辺までなら出てきているのに。
「最後ざっくりし過ぎてないか? あんたの父親が蒸発した理由は?」
「え、蒸発? 分かんない。何でだろうね…」
見上げた先に考える顔。



