はい、と一人一人に渡されていくそれ。 なんだか呆然としてしまって、メロンを口に入れる。瑞々しくて甘い。 「良いんじゃないの? 岸田さんはホタルちゃんを守りたい一心で履歴を消した。ホタルちゃんは自分の保身の為に記憶を消した」 藤堂さんの言っていることは何も間違っていない。 「社長が探偵なんて姑息な手使わなかったら、穏便に事が済んでたのに。ねえ、遼くん」 「え、ああ、まあどっちにしろ」 遼を見ると、今度はこっちを向いていた。 「螢が無事なので、良かったです」