サンドリヨンは微笑まない


隣の部屋なんてあったんだ、と今存在を知ってノックをしてから開ける。

あたしの姿を見て一番に立ち上がったのは岸田さん。平井さんはそれに苦笑い。


「お疲れ様! 腕怪我したって聞いたけど、こんなに酷いの!? 病院行く?」

「これはちょっと大袈裟に巻かれちゃったんです」


視界の端に映るのは、遼。

直視出来ない。なんか、泣いてしまいそうだ。


「お疲れ、藤堂は?」

「打ち上げ行くって言ってました」

「あの下戸…」


平井さんがぼそりと言って立ち上がる。まるで女の子同士みたいに岸田さんと手を繋いだあたしの頭をポンとしてから、扉から出て行った。