サンドリヨンは微笑まない


嫌な自分も一緒に思い出してしまう。

入った時は先輩に噛みついたり、態度悪かったりで岸田さんを困らせた。

何度か社長とは言い合って、辞める辞めないとなったけれど、岸田さんに辞めろと言われたことがない。


「螢、モデルやって」


床に出しっぱなしの絵の具をそのままに、遼スケッチブックを開く。


「やだ。ぬ、脱ぎたくない!」

「誰がヌードなんて頼んだよ。そのままの姿勢でいれば良いから」

「やだ」

「何が」

「嫌なものは嫌。チケット渡したし、もう帰る」


立ち上がって、美術の海に足をつける。