花火の時のことだ。 そんなの、もう忘れて欲しかった。 「…あんなの嘘に決まってるじゃん。それから遼に何回も酷いこと言われて、嫌になったの」 「確かに何回も傷付けたな」 「だから、キライ」 すっともう片方の手で顎を掴まれた。 「螢、目見て言って」 その言葉に、あたしが岸田さんに前の事務所を止めることを伝える時のことを思い出した。 話して二回目だったのに、先生みたいに「目見て話さないと伝わらない」と言ってくれた。 遼の方を見た。 目に溜まっていた涙が一粒落ちて、何故か遼は笑っている。