サンドリヨンは微笑まない


見てみるとメモ用紙。それで思い出す。

この前一緒に撮影があったメンズモデルの人アドレスと番号。渡されて、そこで捨てるのもどうかと思って、ポケットに入れっぱなしだった。

もう名前も忘れてしまった。

女性向けの雑誌は見るけれど、あたしはメンズ雑誌は見もしないから、よく覚えられない。

昔もそうだけど、今もあたしの周りは圧倒的に女の方が多い。


「事務所を自習室代わりに使わないでくれる?」


ぼんやりと天井を映していた視界に入ったのは、平井さんの顔。

出来てしまった青痣が消えると一緒に、平井さんの機嫌も直った。