サンドリヨンは微笑まない


今日は曇っていて少し薄暗い。

パチンと人の家の電気のスイッチを触っていた遼がいきなり方向転換する。

キッチンの方へ行って蛇口を捻るけれど、当然の如く水は出てこない。


「ミネラルウォーターはほら、こんなに沢山貰ってたから。水には困らないよ」


実はガスと電気が止まったのは初めてだということは言わないでおこう。
アスパラを茹でた次の日にはもうつかなくなっていた。


「頭より生活能力の方がねーな」


断言された。それから、


「場所移動。教科書持って、うち行く」


いつもスカスカだったスクールバッグに教科書を詰めて歩くのは、どこか可笑しかった。