サンドリヨンは微笑まない


お前、だって。

粋がっている自分は本当に可愛くないし、イタいと思う。

お姉ちゃんの傷ついた顔を一瞥して、家を出たあたし。


「ちょっと、螢!」


背中にかかる声から逃げる。

止まって。ごめんなさいって言えば良いんだよ。

今なら言えること。それでも、その時のあたしには難しかった。


「ホタル、起きて!」


肩を掴まれて、跳び起きる。心臓が痛い。

心配そうに眉を八の字にする岸田さんが視界に入って、自分の下睫毛から水滴が落ちた。


「大丈夫?」

「あ、はい…」

「駐車場まで来ちゃったんだけど…化粧室行ってから上に来なさい」