サンドリヨンは微笑まない



「完璧じゃないとこが面白いもんね」


遼の指があたしの頬を抓る。


「生意気な大遅刻女」

「それいつまで言い続けるの?」

「記憶が消えるまで」


記録更新でもしてやろうか、って思うだけ。

口に出したらこのまま頬を千切られかねない。

考えただけでも末恐ろしくて、黙っておいた。


「…これなに?」

「だからタライだってば」

「んなの見れば分かる。もしかして家から持ってきた…」

「ですけどなにか」


言うと笑われた。何が面白いのかさっぱり分からないけれど、遼は散々笑った後、立って向こうに行ってしまった。