サンドリヨンは微笑まない


誰なのこの人。お茶とか言うから男かと、ナンパかと思った。


「ナンパだよ、ナンパ。はい、立ってー」

「え、うわ」


腕を掴まれて、立ちあがる。真っ赤な唇の人はヒールもあってか、かなり身長が高い。

そして掴まれた力で分かった。

この人、男だ。


「さ、行こっか」

「行かないです、やめてください」

「まあまあそうは言わずに」


ずるずると引きずられそうになる。ちゃっかり荷物も持ってるし。

このまま変なところに売り飛ばされたら、グラビア云々言ってられない!

負けず劣らずあたしだって高いヒールを履いている。