ふと、山ン本は足を止めた。彼の向ける視線の先には、こじんまりとした庵。

しかしそのすぐ近くには物置小屋や池に獅子脅しがあったりと、質素なる古き良き日本らしさ溢れる住居である。


「こんな処に人がいるのか」


興味の出た山ン本はニィイと口角を上げ、その敷地へと足を踏み入れた。


その様子を、木陰からひとつの影が見つめていたことを、山ン本が気づいていたかどうかは定かではない。