わたしの『胸キュンレーダー』は時と場所を選ばない。

道行くイケメンたちと繰り広げる楽しくて幸せな妄想……。

だからと言って別にストーカーの様な真似なんかはしない。

ただ、見てるだけ。

それだけで満足してしまう。

「梨乃。アンタとは中学からの付き合いだけどさ」

「うん」

「このさい、本気で彼氏作ってみない?」

カナは心配そうに言った。

「マンガもいいけどさ。やっぱり現実の方がいいって!」

「うーん……」

「ねぇ、日曜日にさ、北高の男子と遊びに行こうよ!」

「北高って……マサトくんの学校だよね?」

マサトくんはカナの彼氏で何度か会ったことがある。