絶滅危惧種『ヒト』

「何で、何でこんなことに……」


机にうつ伏せたまま、ピクリとも動かない親友を遠巻きに見ながら、梓は口を手で押さえたまま、身体の振るえを止めることが出来なかった。


もし、タカ叔父ちゃんが南極で感染した病原菌が原因だったとしたら、少なからず梓にも責任があるように思う。


あの日、朋美を自宅に来るように誘わなければ、二人が出会うことはなかったのだ。

ずっとずっと子供の頃から、一番の仲良しだった親友。その親友が机にうつ伏せているのに、近づくことも出来ない。


それに朋美のことだけではなく、残された朋美の母のことを思うのも辛かった。

ずっと母一人、娘一人で頑張って生きてきたのに、わずか17歳で最愛の娘が死んでしまったなんて、残された母親は悲し過ぎる。


梓の脳裏に、朋美の母亜矢子の顔が浮かんだ。


これが感染によるものなら、自分を含めたここにいる全員が、同じように死んでしまう可能性がある。


自分も死ぬのかもしれないと思うと、怖くて怖くてしかたない。


ずっと手を握ってくれている聖人の顔を見る。


それに気がついた聖人も見つめ返してきた。


「どうなるのかな?」


「さぁ……」


本当は大丈夫って言ってほしかったのに、聖人の不安そうな顔を見て、梓はますます不安になってしまった。