絶滅危惧種『ヒト』

なぜなら、それまで梓は、自分から率先して聖人に近づくことがなかったからである。


クラスも違うから、いつも遠くから見ているだけだった。


何人もの女の子が、聖人に告白して、フラれたと聞くたびに、あんなに可愛い子でもダメなのだから、私なんて絶対無理だろうって思っていたのだ。


そんな感じで何の進展も無いまま二年生になった時、念願叶ってようやく聖人と同じクラスになることが出来た。


そして数ヶ月が過ぎたある日、聖人に呼び出されて、突然告白をされたのである。


今までほとんど話しすらしたことがなかったのに、何で突然告白されたのか分からなかった。


最初は信じられなくて、何かの罰ゲームか、ドッキリでも仕掛けられてるんじゃないのかと思ったほどだ。


理由を聞いた梓に、聖人は昨年の秋の文化祭のとき、喫茶店をやっていた梓のクラスに来た時、

テキパキと厨房をこなしている梓の姿と、その梓が作った料理に心を奪われたと言ってくれた。


そのとき初めて、梓はいつも面倒くさいと思いながら、家事を手伝わさせられていた母に感謝をしたのである。


聖人と付き合い始めた当初は、他の子たちの視線が痛かったけれど、最近ではあんまり陰口も言われなくなっているから、それなりに楽しい学園生活を送っていたのだった。