絶滅危惧種『ヒト』

授業が終ると、梓は聖人と一緒に聖人の家に向かうことにした。


「あのさぁ、お小遣い前でお金がないんだけど」


「え? ああ、お土産なんかいらないよ」


「だって聖人は昨日持ってきたじゃない」


「そりゃあ彼女の家に招かれて、手ぶらって訳にはいかないだろ?」


「じゃあ私だって、手ぶらじゃマズいじゃないのよ」


「いいんだってば」


「良くないよ」



初めて会う彼氏の母親に、気に入られなければならないのだ。良い訳がない。


とはいえ、無いものは無いのだからどうしようもないのだ。


梓はますます気が重くなった。


聖人の家は、学校から見て北にある。

ちなみに梓の家は南。中学校も学区が違うから、聖人とは高校に入ってからの付き合いだった。


聖人は長身のイケメンで、勉強も学年トップだったから、ほとんどの女子生徒から慕われていたし、もちろん梓も一年生の頃から淡い恋心を抱いていたのである。

そんな聖人に「付き合って欲しい」と言われたときは、死ぬほど嬉しかった反面、本当に私で良いの? と思った。