絶滅危惧種『ヒト』

WHOの本部はスイスにあるのだが、アメリカ政府の対応は早く、

すぐに孝明と共に日本に帰ってきた南極観測隊員を調べ上げると、

彼らに応援を要請して、彼らが氷を採取した場所へと案内してもらった。

今のところ氷の細菌の繁殖方法が分からないから、直接氷のまま摂取せざるをえなく、

その為、全ての人々に行き渡るまでに、かなりの時間を要した。


次々と氷は先進国に運び込まれるが、中々途上国にまでは回らず、その間にも世界中で次々とパンデミックは発生し、

孝明が発病してから、わずか二ヵ月後には、七十億の人口は、半分以下にまで減ったのである。


特に最初の犠牲者を出した日本の被害は甚大で、あれほど人が行きかっていた東京都心は、人っ子一人いないゴーストタウンと化していた。


路上で倒れた人たちの死体が、そのまま雨風に晒されて腐り、腐敗臭で覆われている。

日本国内は、もはや誰も住める状態ではなくなっていた。


そして近隣に誰もいなくなってしまった梓の家族と、聖人の家族はケビンの助けを得て、アメリカに移住することとなったのである。


別に梓が発見した訳でもないのに、今回の氷の中にいた新型細菌の発見者として、梓はアメリカ政府から、人類を救った人物として優遇されることとなった。