絶滅危惧種『ヒト』

聖人たちが氷を持って帰って来た。


しかしその量は少なく、それこそ四人が摂取するとなくなるほどである。


梓の自宅から持ってきている物は、結局溶けてしばらく経つと、細菌はみんな動かなくなってしまった。


これで孝明と一緒に帰って来た観測隊員が持っていなければ、南極に取りに行かなければ無いということになる。


研究者たちは、これ以上何も出来なくなってしまった。


とりあえずアメリカに帰ることにしたのだが、果たして空港が正常に機能しているかは不明だ。


さらに言うと、成田にまで移動する交通手段も正常に動いているのか分からない。



「我々はWHOの代表として日本に来ているのだ。アメリカ政府に掛け合えば、米軍の輸送機くらい飛ばしてくれそうなもんじゃないか?」


ケビンがジョークを飛ばす。


「そうだな。掛け合ってみよう」


それに対してブライアンが真顔で頷いた。


すぐにインターネットを利用して、現在の状況とすぐに迎えをよこして欲しい旨を伝えてみる。


しばらく待たされてから、本当に迎えが来てくれる事になった。


「綾乃……ハッキリ言うが、日本は残念ながら手遅れだと思う。

復興には数十年以上の時を用するだろう。それまでは誰も住めない町なる。アメリカにおいで、住むところの世話は僕がしよう」


ケビンが綾乃を見つめた。


確かにケビンの言うとおりだろう。綾乃は聖人にケビンの申し出を伝える。

聖人も梓も、確かに日本には住めなくなるだろうと思った。