絶滅危惧種『ヒト』

「ねぇどこに行くの?」


「とりあえず二人きりになれるところ」


聖人が振り向いて目が合う。


梓はドキッとした。

ずっとずっと大好きだった人。


付き合い始めて半年、周りの友達がキスをしたとか、エッチをしたとか聞くたびに、自分にそれを重ねたりした。


ずっとそういうことに憧れていながら、誘ってこない聖人にヤキモキもしていた。


でも、いざそういうことをするんだと思うと、妙に緊張してドキドキする。

セックスの本来の目的は、子供を作ること。

そんなことは重々承知だし、まだ高校生の自分が子供を作って育てるなんて、有り得ないし、とても考えられない。


でも、今は聖人と愛し合いたいのだ。


今までに友達から、そういう経験をしたと聞かされるたびに、それが羨ましくて、早く自分も聖人とそういうことをしたいと思ったりしたけど、

聖人から求められることもなく、処女を喪失する勇気もなく、ずるずると時を経ていたけど、

梓にそれを決断をさせたのは、ずっと彼氏がいなかった親友の朋美に、先を越されたという思いだった。


ふと覗いた部屋が、誰もいなかったので、二人は中に入ってドアを閉める。


梓はそのまま奥の窓に向かうと、カーテンを閉めて部屋を薄暗くした。


「あのさ……」


梓の声が震える。


「何?」


「ぇっと……どうすれば良いのかな?」


「えっ、どうって?」


「だから、初めてだからどうすれば良いのか分からなくて」


「俺も……初めてだから……」


そう言いながら、聖人は梓をベッドの上に座らせると、引き寄せて唇を重ねる。


「梓……大事にするよ。一生」


その言葉を聞いたとき、梓はこれでもう、いつ発病して死んでしまっても良いやって思った。