絶滅危惧種『ヒト』

「マ、マ、マジで? いいの?」


聖人は驚いて声が上擦る。


「だって……もうすぐ死んじゃうかもしれないんだもん。その前に大好きな人と結ばれたいって思わない?」


「お、思うよ。そりゃ思うさ」



「良かった。拒まれたらどうしようかと思った」


嬉しそうに微笑む梓の顔を見て、聖人は胸がドキドキした。



「拒むわけないじゃん」



「でも……」


「何?」


「うん。あのね……」


梓の顔が少し曇る。聖人はその顔を見た瞬間、梓が避妊の心配をしたのだと思った。


まさかこういう展開になるなんて思ってもみなかったから、当然避妊具は持っていない。


「ごめん梓」


「え?」


「いや、あれだろ? 避妊のことだよな? それが突然のことだから、持ってないんだ」


「えっ……」


「だからコンドームがないんだけど」


「ヤダもう! 地球が滅びるかもしれないのに、妊娠の心配なんかしないわよ」


「えっ、じゃあ何?」


「だからぁ〜〜〜〜。身体に細菌が移動した跡があるでしょ」


「あ、ああ」


「そういうのを見られたくないんだよ」


「ああ、そういうことか」


「だって初めてなのに、あんな醜いのがついてるところを見られるなんてさぁ」


「いや、俺はそんなの気にしないってば」


「イヤ。聖人は気にしなくても、私は気になるの」


「じゃあどうすれば良いんだよ」


「それは……どうしようもないから、ずっと目を瞑っててもらうしかないんだけど」


「え〜〜〜。そりゃないだろ」


「だってぇ〜〜〜」


「まぁ、とにかく一回帰ろうか」


「うん」


二人は手を繋いで歩き始めた。