絶滅危惧種『ヒト』

《何か買ってくるわ》


涙を拭いながら綾乃が言った。


《そうかい? すまんね》


綾乃は聖人に、何か食べる物を買う為に売店に言ってくると告げる。


それに対して、梓が自分が行くと申し出て、梓と聖人が二人で向かうことになった。


「お母様って素敵よねぇ」


一階の売店を目指して歩きながら、梓が目を輝かせる。


「イヤ、マジで知らなかった。あんな過去があったとは……」


「青年海外協力隊ってヤツ? スゴイよね。憧れちゃうよ」


「おい。ダメだぞ」


「え? ダメって何が?」


「だからぁ〜オマエはそういうのに参加するなってこと」


「何でよ?」


「だって会えなくなるじゃん」


「あっ……」


梓は思わず立ち止まってしまった。


「何?」


「ぁ、んと……嬉しくて」


「え?」


「行くわけないじゃん。聖人と離れ離れになるなんて、イヤだもん」


「そっか」


聖人が微笑む。


これって最高のシチュエーションだよね? 梓はそう思った。


「ねぇ」


「ん?」


「あのさぁ」


「何だよ梓」


「だからぁ〜〜〜」


梓は目を閉じて唇を突き出す。すぐに柔らかい感触が……。