絶滅危惧種『ヒト』

《生ワクチンか……》


留美の身体についている、青紫の跡を指でなぞりながら、ブライアンが呟く。


《彼女から細菌が採れるな。すぐに培養しよう》


ケビンが提案した。


《ちょっと待った。彼は生ワクチンを作っているんだ。どこかに培養してるのがあるんじゃないか?》


別の医学者のアレックスが、部屋の奥に向かう。


そこにはいかにも細菌を培養しているのが分かるシャーレが多数ある。


《おい。これを顕微鏡に》


アレックスはすぐ後ろについて来ていた唯一の女性ジョディー・ライスに手渡した。


ジョディーはそれを受け取ると、すぐ側にある電子顕微鏡にセットする。


細菌と聞いていたから、大きいと思っていたのだが、この細菌はウイルスと変わらない小さなモノだった。


《おい。胃液は誰のを用意するんだ?》


アレックスがブライアンに聞く。



《そうだな……。俺のを採ろうか。ケビン採取の道具を探してくれ》


《OK。だがその前に》


ケビンが人差し指を立てた。



《何だ?》


《腹が減った》


《おいおい。オマエはなぁー》


ブライアンが呆れたように呟く。



《まぁそう言うなって、日本には腹が減っては戦は出来ないっていう言葉があるんだぞ》


《まったく、オマエってヤツは》


ブライアンは両手を開いて手の平を上に向けた。