絶滅危惧種『ヒト』

「梓、先に帰るなら送っていこうか?」


聖人が微笑む。


「ううん。まだ一緒にいたいから、いい」


梓は微笑み返すと、聖人の手を握った。


綾乃を先頭に、先を歩くみんなの最後尾で、梓は聖人と手を繋いだままで着いていく。


さっきまでの泣きたいほどの不安感は薄れ、今は大好きな聖人と手を繋いで歩いていることに幸せを感じていた。


またお兄さんの研究室に戻ってきた。今日これで何回目だろう?

梓は部屋の中でストレッチャーの上の直樹と、その隣の留美の姿を見て、また胸が痛んだ。


《これは……》


直樹と留美の姿を見て、ケビンが綾乃を見る。


《彼が私の長男よ。この部屋で研究をしていたの》


《彼も発病したのかい?》


《いいえ。息子は自殺したの》


《何だって!》


ケビンは大袈裟に驚いた。


《息子は彼女に生ワクチンを投与したの、だけど生きたままの細菌は皮下に留まらず、彼女の消化器官を目指して移動し、発病させた》


綾乃は留美の服の前を肌蹴させ、例の跡を四人に見せる。


《こ、これは……》


四人は唖然としてその跡を見つめた。


《結果的に息子の投与した生ワクチンで、彼女は発病して亡くなった。そう思った息子は絶望して屋上から飛び降りたの……》


綾乃はそこまで喋ると、号泣して続きを喋ることが出来なくなった。