絶滅危惧種『ヒト』

「梓もかな?」


「え?」


「脱いでみろよ」


聖人が真顔で言う。


「えっ? ちょ、ヤダよ。恥ずかしいじゃん」


いくら大好きな彼氏とはいえ、こんな真昼間に裸を見せられるわけがない。


「恥ずかしがってる場合じゃないだろ!」


「待ちなさい聖人」


綾乃が割って入った。


「私が見るわ。いい梓ちゃん」


お母様にそう言われると、無碍に断ることは出来ない。


「は、はぁ……」


梓はしぶしぶ了承した。


「じゃあ服の前を少し緩めてみて、襟の後ろから覗いて見るから」


綾乃はそう言うと、聖人と梓の間に立ち、聖人に見えないように気を使ってやりながら、梓の首筋から服の襟を引っ張って覗き込む。


「あっ、あるわ。梓ちゃんも背中側に跡があるわ」


「え?」


梓の顔色が変わる。やはり女の子だけに、身体にあんな醜い跡がついていると思うと辛い。


「やっぱワクチンの細菌は、消化器官を目指して移動したんだ」


聖人が断定的な言い方をした。


「じゃあ何で発病しないのよ? 背中側だから?」


梓が眉を曲げる。


「それは……分からないけど……」


聖人は分からなくて口ごもった。