絶滅危惧種『ヒト』

ずっと娘が欲しかった綾乃にとって、梓と過ごす時間は本当に楽しいものだった。


よくぞこんな可愛い子を射止めてくれたものだと、息子を褒めてやりたい。


梓ちゃんのご両親、すぐにお嫁にくれないかしら……。


綾乃は本気でそう思っていた。


「ねぇ梓ちゃん。この後どうしましょうか?」


綾乃は運ばれてきたパスタを一口食べてから、梓に向かって問いかける。


「そうですねぇ……。お母様はどこか行きたいところとかありますか?」


「映画にしよう」


あまり荷物を持ってうろうろしたくない聖人は、映画を提案した。

映画なら二時間くらいはゆっくり出来る。



「あなたには聞いてないでしょ」


ところがまたしても、母親に冷たくあしらわれてしまった。


「あっ、でも、お母様。私も映画がいいかも」


「そう?」


それに対して綾乃は不満そうな顔をする。


「お母様はイヤですか?」


「イヤって訳じゃないけど、映画って一緒にお喋りしたりしながら観るものじゃないじゃない」


「はぁ……それは、まぁ……」



「出来たら梓ちゃんとお喋りしながら楽しめるものがいいわ」


「そうですよねぇ」


梓はちょっとだけ辟易しながら、笑顔で答えた。