絶滅危惧種『ヒト』

あっちこっちに連れまわされて、気がつけばあっと言う間にお昼前。


「じゃあランチにしましょうか」


綾乃が嬉しそうに提案する。



「やっとか……やっと休憩出来るのか」


両手一杯の荷物を持たされた聖人がホッとした顔をした。



「ごめんね聖人」


「いいのいいの梓ちゃん」


謝った梓に向かって、すぐに綾乃が横槍を入れる。



「それより何が食べたい?」



「ぅんと……そうですねぇ〜」


「俺パスタがいい」


「あなたには聞いてないでしょ」


綾乃が聖人を睨んだ。



「ちょ、何だよそれ」


「あっ、それ良い! 私もパスタが良いです」


梓は聖人の気持ちを察して、すぐに賛成した。


「そう? 本当にそれでいいの?」


「ええ、もちろんです。そういえば最近パスタを食べてなかったんで」


「そう。じゃあパスタにしましょう」


綾乃は嬉しそうに微笑んだ。


母が彼女と仲良くしてくれるのは有り難いが、自分の立場は何なのだろう……。

聖人はふと疑問に思った。


母が娘を欲しがっていたのは、まぁ分からなくもないが、梓と結婚したらどうなるのか?


ずっと梓に構いっ放しで、おそらく二人きりの、甘い新婚生活は送れないような気がする……。


聖人は笑顔で前を歩く二人の女性の背中を見ながら、ため息を吐いた。